テストプロセスにおけるテストカバレッジ手法

ソフトウェアやアプリケーションを扱うときは、テスト プロセスができる限り効果的であることを確認する必要があります。これを実現する 1 つの方法は、インテリジェントなテストカバレッジを用いることです。これらの手法は、システムのどの部分がどの程度テストされているかを特定するのに役立ちます。さまざまなツールがテスト自動化カバレッジの有効性を高めます。

テストカバレッジには、さまざまなタイプの手法を採用できます。コードカバレッジ、リスクカバレッジ、ステートメントカバレッジなどの手法があります。それぞれの手法には特定の目的があり、テスト対象ソフトウェアの全体的な品質を向上させるのに役立ちます。また、テストカバレッジのためのツールは、プロセスを自動化して成功に導くのに役立ちます。この記事では、最も一般的な 7 つのテストカバレッジ手法と、それらを使用してテスト作業の効果を向上させる方法について説明します。

テストカバレッジとは?

テストカバレッジは、特定のソフトウェアに対してどれだけのテストが行われたかを測定します。テストケースが対象システムのコードをカバーしているかどうか、そしてテストケースを実行したときにどれだけのコードが実行されたかを判断します。通常、パーセントまたは分数で表され、テストスイートの完全性を評価するために利用できます。

テストカバレッジの評価には多くのカバレッジ基準を使用することができます。一般的な基準としては、製品カバレッジ、ブランチカバレッジ、条件カバレッジなどがあります。Ranorex Studio のようなテストカバレッジ用ツールを使用すると、カバレッジの測定プロセスを自動化することができ、完全なカバレッジを確保できるようになります。

テストカバレッジ手法とテストにおける位置付け

ソフトウェアのテストプロセスでは、さまざまなテストカバレッジ手法を使用することができます。それぞれの手法には長所と短所があり、1 つの手法ですべての不具合を完全にカバーできるわけではありません。以下は、7 つの主要なカバレッジ手法とその目的です。

1. ステートメント カバレッジ

ステートメントカバレッジは、ソフトウェアの品質を向上させることができるホワイトボックステスト技法です。ソースコード内のすべてのステートメントの実行レベルを測定します。ステートメントカバレッジは、すべてのステートメントが少なくとも 1 回は実行され、すべての行がカバーされていることを保証します。これはソフトウェアのバグをすべて発見および修正するために役立ちます。

ステートメントカバレッジは、単体テストからシステムテストまで、さまざまなレベルで価値があります。各レベルで、すべての不具合を発見するのに十分であることを保証することが重要です。単体テストのレベルでは、ステートメントカバレッジは、ユニット内のすべてのコード行が実行されることを保証します。

2. コード カバレッジ

コードカバレッジは、テストによって実行されたコードの量を測定するために使用されるテストメトリクスです。テストプロセスで正常に検証されたコードの行数と、ソフトウェア アプリケーションがどの程度までテストされ、検証されたかを示します。コードのどの部分をテストするのが最も重要であるかを特定するためのメトリクスとして使用でき、テストケースの優先順位付けに役立てることができます。コード カバレッジは通常、カバーされたコード行の割合で表されます。

コードカバレッジは高いソフトウェア コード品質を確保する上で有用ですが、完璧な尺度ではありません。しかし、コードカバレッジが低いテストよりも、より多くのバグを発見するのに役立ちます。特に、テストケースの優先順位付けのためのコードカバレッジ手法が必要な場合に、その価値が発揮されます。

3. 互換性カバレッジ

互換性カバレッジは、主要なテストカバレッジ手法の1つです。異なる OS やブラウザー間でアプリケーションの互換性をテストすることに重点を置いています。この種のテストは、ソフトウェアがその設計対象のすべてのデバイスとプラットフォーム上で意図したとおりに動作することを保証するのに役立つため、重要であると言えます。

また、テスターは、特定のOSやブラウザーと互換性がない場合にソフトウェアがどのように機能しなくなるかについても熟知している必要があります。

互換性テストは時間とコストがかかりますが、ソフトウェアが設計されたすべてのプラットフォーム上ですべてのユーザーに対して意図したとおりに動作することを保証する上で、価値のあるものです。

4. リスク カバレッジ

リスクカバレッジは、非常に重要なカバレッジ基準になります。この手法は、開発中のソフトウェアに関連するすべてのリスクをテストがカバーしていることを保証します。リスクを特定し、優先順位を付けることで、テストが最も重要な領域を最初にカバーすることを保証できます。

リスクを特定する方法は数多くありますが、一般的な方法としては以下のようなものがあります。

• 類似プロジェクトの履歴を見ます。
• コードに不具合がありそうな箇所を調査します。
• 利害関係者と懸念事項について話します。

リスクカバレッジは、エラーが発生しやすいソフトウェアテスト プロセスの領域を特定する上で最も重要です。それらを特定した後、テスターはこれらの領域に注力し、それらが完全に評価されていることを確認できます。リスクカバレッジでは、追加テストが必要な領域を特定することも可能です。たとえば、これまで十分にテストされていない新機能がソフトウェアに追加された場合、リスクカバレッジでこの領域を特定し、最初にテストでカバーすることができます。

5. ブランチカバレッジ

ブランチカバレッジは、コード内のすべての分岐が少なくとも 1 回は実行されることを保証するためのテストカバレッジ手法です。プログラムが予期せぬ動作をする原因となるコードのエラーを特定するのに役立つため、これは重要です。

ブランチカバレッジを達成するには、以下のすべてを満たす必要があります。

• すべての判定ポイントをカバーすること。
• すべての論理演算子を網羅すること。
• すべてのループをカバーすること。

テスト中にブランチカバレッジを確保するために、テスターは、コード内のすべての異なるブランチを実行するケースを作成する必要があります。これは手作業で行うこともできますし、テスト ケースを自動生成できる管理ツールを使用して行うこともできます。すべてのブランチがカバーされたら、このメトリクスを計算できます。

これは、カバーされた分岐の数をコード内の分岐の総数で割ったものです。ブランチカバレッジが100％であるということは、すべてのブランチが少なくとも 1 回実行され、エラーが発見されなかったことを意味します。

6. 製品カバレッジ

製品カバレッジは、テスト プロセスの有効性を評価するための主要なテストカバレッジ手法の 1 つです。これは、ソフトウェア製品の項目数に対するテスト可能な項目 (要件、機能、ユースケースなど) の割合です。

効果的なテスト自動化カバレッジを達成するために、自動化エンジニアは、製品とそのテストの容易性を分析する必要があります。また、利用可能なテスト自動化ツールと、それらがどのように製品に使用できるかを理解する必要があります。

テストで製品カバレッジを使用することには、多くの利点があります。

• テスト可能な項目にテストエンジニアが集中できます。テストできない項目をテストする必要がなくなります。
• 自動化エンジニアが、テスト自動化でカバーされないテスト可能な項目を特定するのに役立ちます。
• 製品のテストの容易性を測定します。
• 製品のテストの容易性を評価する上で最も価値があります。

7. 要件カバレッジ

要件カバレッジは、テスターが要件のギャップを特定するのに役立ちます。要件カバレッジとは、どのソフトウェア要件がテストされ、どのソフトウェア要件がテストされていないかを特定するプロセスのことです。要件カバレッジを適切に評価するために、テスターはまず、カバーしなければならない要件を理解する必要があります。これには、機能、非機能、インターフェース、およびパフォーマンスの要件が含まれます。要件ごとに、関連するテストカバレッジ手法が存在します。

• 機能要件は、ソフトウェアの機能をカバーします。すべての機能要件が満たされていることを確認するために、境界値分析と等価分割手法を使用できます。
• 非機能要件は、スケーラビリティや信頼性など、ソフトウェアの非機能的な側面をカバーします。負荷テストやストレステストなどの手法を使用して要件をテストすることができます。
• インターフェース要件は、ソフトウェアとそのユーザーとの間のインターフェースをカバーします。ユーザビリティテストとユーザー受け入れテストの手法が用いられます。
• パフォーマンス要件は、ソフトウェアのパフォーマンスを対象とします。負荷テストとパフォーマンステストの手法が採用されています。

最適なテストカバレッジを選択するには

テストの種類に関係なく、Ranorex Studio のようなツールは、リスクを最小限に抑え、ソフトウェアを保護するための適切なカバレッジを確保するのに役立ちます。

テストカバレッジを決定する際には、いくつかの要素を考慮する必要があります。まず、あなたのプロジェクトにとって最も意味のあるテストの種類を理解する必要があります。主なテストの種類として、単体テスト、統合テスト、機能テスト、そして非機能テストの 4 つがあります。

• 単体テストは、最も粒度が細かいテストであり、コードの個々の部分をテストします。
• 統合テストは、これらのユニットがどのように連携して動作するかをカバーします。
• 機能テストは、システムの機能性をチェックします。
• 非機能テストは、パフォーマンスやスケーラビリティなどの側面をカバーします。

また、カバレッジの目標も決めておく必要があります。自動テストで何をカバーしたいですか ? ここで考慮すべき要素はたくさんありますが、共通の目標としては、すべてのコードパスがカバーされていること、すべての要件を満たしていること、そしてすべてのバグが発見されていることを確認することなどがあります。目標を知り、適切なカバレッジ手法を選択することは、テストを最適化するのに役立ちます。テスト ツールのプロバイダーは、その成功を示す肯定的なレビューを持っているはずです。

テストカバレッジの最適化

最適なカバレッジ率およびカバレッジ手法を得るためには、自社のリスクが何であり、それをどのように軽減できるかを理解する必要があります。

• システムのどの部分が壊れやすいのか？
• それらのリスクをカバーするために、何をテストする必要があるのか？

たとえば、Web アプリケーションをテストする場合、ユーザー入力の検証、セッション管理、クロスサイトスクリプティング攻撃などを考慮する必要があります。金融アプリケーションの場合は、金利計算とマネーロンダリング防止を考慮に入れる必要があります。

自動テストのための Ranorex Studio などのツールをご活用ください。リスクに応じて適切なテストカバレッジを確保し、強力なシナリオを実行することで、ビジネスの成功に貢献します。

自動化ツールがソフトウェアアプリケーションのテストにどのように役立つのか

自動化ツールは、定型的な作業を自動化することで、ソフトウェアアプリケーションのテストプロセスを迅速化するのに役立ちます。これにより、時間を節約し、コストを削減することができます。また、自動化ツールは、一貫した結果を提供することによって、テストの精度を向上させる上でも役立ちます。

Ranorex は、ソフトウェアテスト自動化のリーディングプロバイダーです。一般的な開発環境との統合により、Ranorex ユーザーは簡単にテスト自動化を作成、維持し、既存のワークフローに組み込むことができます。ユーザーはテスト自動化を最大限に活用して最適なテストカバレッジを達成していると確信しています。

（この記事は、開発元 Ranorex 社 Blog 「Testing Coverage Techniques for the Testing Process」2022年10月20日の翻訳記事です。）