CI/CDパイプラインの5つの利点
開発者が半年間かけて製品を開発し、最後にテスターに引き渡してテストするという時代は終わりました。開発チームがこのアプローチを変えなければならなかった理由は、開発プロセスの後半で欠陥を見つけて修正することが、時間、労力、およびコストの面で無駄であることが明らかだったためです。今では、できるだけ早く欠陥を検出し、製品を小さな単位でリリースすることが重要となっています。これにより、機能をより高速に提供し、より迅速なフィードバックを得ることができます。
CI/CDパイプラインの導入は、このプロセスを高速化するための1つのアプローチです。CI/CD化を実現するには相当な努力が必要ですが、そのメリットは初期コストを上回るものです。CI/CDは、何かを壊すことを恐れずに、どんな変更に対してでも自由にプッシュすることができます。欠陥を検出してすぐに修正できるさまざまなチェックポイントがあります。機能は段階的に開発され、すぐにテストされ、自動的にデプロイされます。
Assembla(英語)のようなバージョン管理ツール、Docker(英語)コンテナ、CIプロセスのどの時点でもコードの一部をオンまたはオフにすることができる機能フラグツールが利用可能になったことで、開発チームはいつでもすぐに本番環境に対応したコードを柔軟に使用できるようになりました。
今回は、デプロイメントの高速化に加えて、CI/CDパイプラインを導入することで得られる意外なメリットについて5つご紹介します。
1.リスクの低減
コードを頻繁にテストし、デプロイすることで、プロジェクトのリスクレベルを下げることができます。バグをできるだけ早く発見し、欠陥が検出されたらすぐに対応することができます。これにより、修正するためのコストが削減され、Shift Left (シフトレフト) の概念に従ったものとなります。
リスクに対するもう一つの利点は、開発プロセスの各段階で自動テストが起動されるため、チームが開発プロセス全体で何が起こっているかを可視化できることです。
最後に、開発者とテスターは、さまざまなプロセスとツールを確立することで、標準を設定し、コードがそれに準拠していることを確認することができます。このように、CI/CDはリスクを大幅に軽減する(英語)ことができます。
2.より良いコラボレーション
CI/CDパイプラインの環境では、開発者、テスター、ビジネス担当者、インフラチームなど、各部門の業務が相互に依存しているため、すべての役割が連携する必要があります。これにより、コミュニケーションが活発になり、開発チーム間のコラボレーションが促進されます。また、各担当者の作業や、その作業がプロジェクトの目標にどのように合致しているのかを把握することもできます。
3.手作業の軽減
CI/CDパイプラインを効果的に導入するためには、コードのチェックイン、テストのトリガー、アプリケーションのデプロイなど、はじめから自動化が必要です。最初は、これらすべての自動テストをセットアップするのに時間がかかりますが、セットアップが完了すると、手動での作業にかかる時間を節約できるため、ROIは指数関数的に増加します。
すべてのコードのビルド、テスト、デプロイを手作業でおこなうことが想像できるでしょうか?
このような方法は、組織が1日に何度もビルドを本番環境にデプロイするような現在の時代には、決して有効ではありません。日常的に反復可能な作業の自動テストがパイプラインのさまざまな段階で実行される一方で、開発者とテスターは、コードを実装する新しい方法や新機能のアイデア、製品をより早く提供するためのユーティリティーの構築など、よりクリティカルな思考と手作業を必要とする他の分野に労力を集中することができます。
4.ログの充実
CI/CDパイプラインを導入することの利点のひとつが、開発プロセスの各段階で得ることができるデータです。開発チームはプロセスの各段階で豊富なログ情報(英文)を得ることができ、また、コードをより理解するのに役立つとともに、問題が発見されるとすぐにトラブルシューティングを迅速におこなうことができます。
ユーザーは、パイプラインで問題が発生した場合、統合ツールからのアラートや電子メールで通知を受けることができます。これらのログは、監査目的で使用され、また、内部で問題が発生していないことを確認できます。
5.容易なロールバック
CI/CDパイプラインを導入することの大きな利点は、変更を素早くロールバックできることです。新しいコードの変更によってアプリケーションが壊れてしまっても、数分後には元の状態に戻すことができます。
まとめ
顧客の要求に応えるためにリリースサイクルを高速化する方向に世界がシフトするなか、高品質なコードを1日に何度もデプロイすることは、もはや必要不可欠なことになっています。この成長市場で競争力を維持したいのであれば、CI/CDを導入することが正しいアプローチとなるでしょう。最初の準備には時間がかかるかもしれませんが、その努力に見合う効果が得られます。将来を見据えた計画を立て、長期的な視点で勝負することが大切です。
作者について:
Raj Subrameyerは、国際的な基調講演者、ライター、およびキャリアコーチであり、技術的なバックグラウンドを豊富に持っています。 彼のBlog(rajsubra.com/blog/)では、読者の生活に役立ち、インスピレーションを与えるニュース、リソースを投稿しています。
(この記事は、開発元 Ranorex 社 Blog 「Beyond Shorter Cycles: 5 More Benefits of a CI/CD Pipeline」2021年5月21日の翻訳記事です。)