IoTデバイスをテストするための3つの戦略
私たちは今、モノのインターネット(IoT)の時代にあり、デジタルと物理的な世界が結び付いており、テクノロジーやデバイスの複雑さは、指数関数的に増大しています。
たとえば、スマート フィットネス トラッカーのデバイスを手首に装着すると、小さなスクリーンにデータが表示されます。データは運動するたびに更新されます。スマホやデスクトップアプリを使う場合は、デバイスやプラットフォーム間でデータが同期され、常に最新の情報を見ることができます。
さらに、これらの異なるデバイスやプラットフォーム間で情報がやり取りされるため、データを安全に暗号化する必要があります。トラッカーの中には、ユーザーが電子メールをチェックしたり、テキストメッセージや電話を受信したり、歩数の目標を達成したときにデバイスに物理的な振動を与えたり、通知の種類に応じて光センサーを作動させたりする追加機能を備えたものもあります。ある程度、耐水性、耐久性のあるバッテリー寿命、急速充電、操作性の良さなどが求められます。
フィットネストラッカーは比較的シンプルなデバイスですが、非常に多くの異なる機能があり、それらが適切に連携しなければなりません。センサー、Webアプリケーション、モバイルアプリケーション、Webブラウザーなどが統合された大型のデバイスでは、システムがどれほど複雑になるか想像してみてください。これが、IoTデバイスをテストする際に開発チームが直面する課題です。
Global System for Mobile Communications(英文)によると、IoTデバイスの数は2025年までに251億個に増加すると予想されています。では、これらのシステムが正しく動作することを確認するにはどうすればよいのでしょうか。
ここでは、IoTデバイスをテストし、顧客にシームレスな体験を提供するための3つの効果的な戦略をご紹介します。
1. システムコンポーネントの違いを明確にする
脆弱性やリスクを理解し、何をテストすべきか、どのようにテストすべきかを理解するためには、開発チームは異なるIoTシステム・コンポーネントを認識する必要があります。一般的に、IoTエコシステムは以下のコンポーネントで構成されています。
スマートセンサー:スマートセンサーは、常にデータを収集し、さまざまなアプリケーションにデータを送信するハードウェアコンポーネントです。これには、モーションセンサー、温度センサー、ハートビートセンサー、光センサーなどが含まれます。
プロトコル:IoTデバイスは、様々なプロトコルを使用して情報を送信し、相互に作用します。これにより、異なるデバイス間の安全な通信が可能になります。プロトコルの選択は、データの速度、帯域幅、全体的な効率に依存します。
一般的に使用されているプロトコルには、Extensible Messaging and Presence Protocol(XMPP)、Message Queuing Telemetry Transport(MQTT)、Constrained Application Protocol(CoAP)、Zigbee、Bluetooth、Lightweight M2M(LwM2M)、Advanced Message Queuing Protocol(AMQP)(英文)などがあります。
ゲートウェイ: ゲートウェイは、センサーからの情報を、クラウドに接続されたさまざまなデバイスに送信するのに役立ちます。ゲートウェイは、不正なアクセスや悪意のある攻撃からシステムを保護するためのセキュリティ層を追加します。
クラウド: IoTクラウドは、大量のデータを収集し、保存し、データを処理し、ミリ秒単位で判断を下します。この処理された情報は、消費者がすぐに利用できます。
アナリティクス:アナリティクスは、大量のデータから重要なパフォーマンス指標を得たり、インサイトを得たり、イレギュラーを見つけたりするのに役立ちます。これには、予測分析におけるAIや機械学習の利用も含まれます。
ユーザーインターフェース:ユーザーインターフェースは、消費者がさまざまなコンポーネントを制御したり、好みを設定するために使用するインターフェースです。
2. 適切なテスト手法の導入
開発チームは、他のアプリケーションをテストする場合と同様に、IoTデバイスをテストするためのテスト戦略を策定する必要があります。しかし、この戦略の一環として、IoTシステムを効果的にテストするためのさまざまなテスト手法を知っておく必要があります。この予備知識があれば、テスト作業の優先順位付けに役立ちます。
ここでは、IoTのテストに使用するいくつかのテスト手法を紹介します。
- 互換性テスト:IoTシステムで異なる機器構成で接続可能かを確認する。
- ユーザビリティテスト:エンドユーザーとしての使い勝手を確認する。
- プロトコルとAPIテスト:通信に使用するプロトコルやAPIを確認する。
- データの一貫性テスト:すべてのプラットフォームでデータの一貫性が保たれているかを確認する。
- セキュリティテスト:デバイスのパスワードポリシー、サービス妨害などのさまざまな悪意のある攻撃に対する耐性テスト、権限のないユーザーがデータにアクセスする可能性があるその他のセキュリティ脆弱性を確認する。
- パフォーマンステスト:ネットワーク仮想化などを利用して、多数の機器を接続した状態でのシステムの速度や性能を確認する。
- アップグレードテスト:IoTシステム内の機器をアップグレードした際に、予期せぬ事態が発生しないか確認する。
- 接続性テスト:IoTシステムをさまざまなネットワーク帯域幅、Wi-Fi、4G/5Gネットワークで接続を確認する。
- 統合テスト:IoTシステムを構成するさまざまなデバイスが効率的に通信し、連携して動作することを確認する。
3. 既知の課題に対する障害を取り除く
IoTシステムのテスト中に開発チームが直面する可能性のあるいくつかの課題を軽減する計画を持つことは、組織にとって多くの時間、コスト、労力を節約するのに役立ちます。この種のシステムには、いくつかのよく知られた課題があります。
たとえば、IoTデバイスには多くの構成があり、テストするための最適な組み合わせを考えることは非常に困難です。そこでコンビナトリアル・テストやペアワイズ・テストの手法を用いることで、テストパラメータの数を減らすことができます。
また、IoTネットワークの耐障害性をテストするためには、さまざまなネットワーク条件をシミュレートする必要があります。ネットワーク仮想化などの技術は、さまざまな条件や応答をプログラムでエミュレートするのに役立ちます。
IoTシステムの最大の課題の一つは、攻撃によるセキュリティの脅威です。開発チームは、ユーザーのデータ、プライバシー、セキュリティを危険にさらす可能性のある障害シナリオと考えられる攻撃のリストを作成しなければなりません。
最後に、これらのシステムを効果的にテストするためには、大量のデータを管理するための十分なリソース、処理速度、ネットワーク帯域幅の確保が不可欠です。
Mordor Intelligence社のレポート(英文)によると、IoTデバイス市場は2026年までに1.3兆ドルを超えると予想されています。毎秒のように新しいIoTデバイスが登場するため、消費者はこれまで以上にインターネットに接続されるようになります。私たちは、これらのIoTシステムを効果的にテストし、その安全性と人間の使用に適していることを確認するために、積極的に準備しなければなりません。
作者について:
Raj Subrameyerは、国際的な基調講演者、ライター、およびキャリアコーチであり、技術的なバックグラウンドを豊富に持っています。 彼のBlog(rajsubra.com/blog/)では、読者の生活に役立ち、インスピレーションを与えるニュース、リソースを投稿しています。
(この記事は、開発元 Ranorex 社 Blog 「Three Strategies for Testing IoT Devices」2021年4月28日の翻訳記事です。)