条件分岐

今回は、Ranorex バージョン7.2 で新たに追加された機能である条件分岐についてご紹介します。

条件分岐の概要

本機能では、UI上の設定画面(図1)で指定した条件にしたがって、テストケース(もしくはスマートフォルダ)単位での実行/非実行による分岐処理を行うことができます。
Ranorex バージョン7以前では、分岐を行うにはコーディングが必要でしたが、この機能を使用することで、簡単に条件分岐を行うことができます。

図1:条件分岐の設定画面

ルールの指定方法と条件分岐で指定できる値は、以下となります。

  • ルールの指定方法
    • 条件分岐で指定できるルールは複数指定が可能(上限10個まで)
    • 条件分岐で指定で複数ルールを指定した場合、「全てのルールに一致するか」もしくは、「いずれかのルール一致するか」を選択可能
  • 条件分岐で指定できる値
    • ① データソースの値
    • ② パラメーターの値

続いて、①②を使用したそれぞれの条件分岐についてご紹介します。

① データソースの値による条件分岐

今回は、あるサイトのテストを行うにあたり、ログイン時のユーザー名によってログイン後の処理内容が異なるテストを作成します。テストシナリオとして、図2にあるように”ユーザー名”を条件とし、その後の処理内容を分岐させていきます。

図2:テストシナリオ

Ranorexのテスト構成として、図3のような形であることを仮定します。データソースに設定されたユーザー名の値を条件とし、ログイン後に実行されるテストを分岐させる設定を行います。

例として、「管理者権限」テストが実行される場合の条件を設定します。

図3:テストスイート画面

図4のルール設定では、データソースのusername(ユーザー名)の値が”admin”と⼀致した場合、「管理者権限」テストが実行されます。残り2つのテスト(管理職/その他)に対しても、同様にルールの設定を行います。

図4:ルールの追加画面

それぞれに設定を行うと、図5のような条件分岐設定となります。

図5:設定後のテストスイート画面

これらのルールが設定された状態でテストを実行すると、図6のようなレポートが出力されます。レポート結果から、条件分岐の設定に従って、それぞれのテストが実行されたことが確認できます。

図6:実行後のレポート結果

② パラメーターの値による条件分岐

“パラメーターの値”による条件分岐では、対象アプリ上の各オブジェクトの属性値などに基づいて条件を設定できます。

パラメーターの種類

  • グローバル:テストスイートで指定したグローバルパラメーターをパラメーターとして指定可能
  • ローカル:テストケース(もしくはスマートフォルダ)の中で指定したローカル変数をパラメーターとして指定可能

ローカル変数をパラメーターとして使用する場合、対象のテストケース(もしくはスマートフォルダ)のデータバインディング設定にて、”パラメーター”として設定しておく必要があります。また、条件分岐の設定を行う場合、図7にあるように、グローバルパラメーターは”global”、ローカル(ローカル変数)は”local”として表示され、ルール設定時の条件として選択できます。

図7:パラメーターのルール設定画面

ローカル変数のパタメーター設定

ローカル変数をパラメーターとして設定した場合、設定したテストケース/スマートフォルダ配下にあるテストケース/スマートフォルダでも、そのローカル変数を使用して条件分岐を設定することができます。ただし、下位のテストケース/スマートフォルダで設定したローカル変数を、上位のテストケース/スマートフォルダで指定することはできません。

今回ご紹介した条件分岐により、入力するデータソースの値、もしくはパラメーターの値を条件として、処理内容を分岐させることが可能となりました。

本機能により、従来よりも簡単に複数パターンでのテスト実行が可能となり、テスト作成時の効率性や機能性が向上しています。ぜひお試しください。