効果的なソフトウェアテストレポートのベストプラクティス

多くの IT 組織は、ソフトウェアの品質を改善するために、テストにシフトレフトのアプローチを採用し始めています。
ソフトウェアテストは、ソフトウェア開発ライフサイクル (SDLC) のかなり早い段階でおこなわれ、コードの欠陥が本番環境に入り込む前に検出して修正します。そのため、テストレポートがこれまで以上に重要になっています。レポートは、テストプロセスのさまざまな段階で何が起こっているかを要約し、テストが特定の結果を生成した理由についての洞察を提供します。
ビジネス関係者は、ソフトウェアテストレポートを使用して、いつ、そしてどのように製品をリリースするのかを決定します。それに対し、プロジェクトマネージャーは、フィードバックを使用して、問題に対処する際のテストチームのパフォーマンスを判断します。テストレポートは、さまざまなテストタイプの価値と安定性に関する重要な質問にも答えます。
📋 有用なテストレポートの基準
テストレポートの中心的な機能には、データを収集し、結果を分析し、対象者にわかりやすい形式で情報を提示することが含まれます。では、テスト作業の精度向上に役立つ貴重な洞察をレポート結果から得るためのベストプラクティスをいくつかご紹介しましょう。
明確でわかりやすい形式を選択する
ソフトウェアテストレポートの形式を選択するときは、想定する読者について考えましょう。たとえば、開発者はコードベースの問題をデバッグするために、テストの失敗に関する詳細な情報を必要とします。テスターは、テストカバレッジの概要や、特定の傾向を示す結果を必要とする場合があります。
基本的に、関係者それぞれのテスト目的を明確にする機能テストの結果を含めるべきです。この結果は、各テストフェーズのスコープを反映したものでなければなりません。レポートは、次のようなさまざまなファイル形式で提示できます。
- テキスト
- CSV/ Excel
- ダッシュボード
- HTML
関連する KPM (Key Performance Metrics) を含める
ソフトウェアテストレポートに含めることができる主なメトリクスはいくつかあります。ソフトウェアテストのサマリーレポートには、以下の項目を含めることができます。
- 総テストケース数:ソフトウェアのパフォーマンスを測定するために設計されたテストケースの数
- 実行されたテストケース:通常はレポート自動化ツールを使用して実行されたテストケースの数
- 成功したテストケース:成功と評価されたテストケースの数
- 失敗したテストケース:失敗と評価されたテストケースの数
- ブロックされたテストケース:実行がブロックされたテストケースの数(※他のテストケースの失敗によって、テストケースが実行できなかった数)
- スキップされたテストケース:実行されなかったテストケースの数
開発者にとって有用な欠陥メトリクスを含むレポートには、通常、次のものが含まれます。
- 欠陥総数:テスト実行中に発見された欠陥の総数
- 未解決の欠陥:解決待ちの欠陥
- クローズされた不具合:対処され、解決済みとして検証された不具合
- 重大度の分布:重大度に基づいた欠陥の内訳。多くの場合、「低」「中」「高」「重大」のカテゴリが使用されます。
- 優先度分布:優先度に基づいた欠陥の内訳。多くの場合、「低」「中」「高」「重大」のカテゴリが使用されます。
テストカバレッジの結果や実行レポートを探している場合、以下のようなメトリクスが考えられます。
- テスト実行率:開始時点の合計から実行されたテストの割合
- テスト成功率:実行されたテストのうち成功と評価されたテストの割合
- テスト失敗率:実行されたテストのうち、失敗と評価されたテストの割合
- テストブロック率:開始時点の合計テスト数に対するブロックされたテスト数の割合
各テストフェーズでパフォーマンスを測定するために使用されるその他のメトリクスの例として、以下があります。
- 欠陥密度:コード単位で発見された欠陥の割合
- 欠陥検出率:テストチームが発見した不具合の割合と、エンドユーザーを含む他者が発見した全体的な欠陥の割合
- 応答時間:システムがユーザーの要求に応答するまでの時間
- リソース使用率:テスト実行時に消費される CPU、メモリ、ディスク容量
- 負荷とストレスの指標:さまざまな負荷とストレス条件下でのテストのパフォーマンス
対象読者を意識してレポートを作成する
ソフトウェアテストのステータスレポートに含めるメトリクスは、依頼者が何を必要としているかによって異なります。対象者がどのようなテストアクティビティを望んでいるのかが分かったら、表示するテストの種類を絞り込みます。たとえば、ソフトウェアテストのインシデントレポートには、バグレポートとは異なるメトリクスが含まれます。
単体テストでは、開発者が必要とするさまざまなテストサイクルのログとスタックトレースの情報が提供されます。統合テストでは、さまざまなコンポーネントがどのように連携するかが示され、システムテストでは、システムの機能の包括的な概要が示されます。
そのため、さまざまな種類のレポートに必要なデータを提供するレポート自動化ツールが必要です。
客観的で、偏りがなく、要点を押さえる
レポートを作成するときは、事実を念頭に置いてください。テストケース、欠陥、メトリクスの正確な数値を含めるようにしてください。一般的な推定値を加えたり、データによって裏付けられていない仮定を含めたりしないでください。「優れている」「良くない」「理想的である」といった用語の使用は避けましょう。実際の結果の説明と、読者に情報を提供するデータを示すことに徹してください。
情報が論理的に流れるようにレポートを構成します。まず、重要な発見とメトリクスを含むエグゼクティブサマリーから始め、次にテスト結果を紹介するようにします。テスト結果ごとにセクションを追加すると、読者が理解しやすくなります。
実行可能な洞察と提言の概要
不具合がある場合は、そのステータスや重大度レベルなどの概要を記載します。主要なメトリクスを説明し、データを裏付ける図表やグラフなどのビジュアライゼーションを含めます。レポートの最後には、個人情報を含まない概要を記載します。
読者が混乱しないように、レポート全体を通して一貫した用語を使用してください。開発チームやプロジェクトごとに統一したフォーマットを使用するのも効果的です。結論や洞察を示す際には、事実に基づいた肯定的な発見と否定的な発見を含めます。提言は、提示されたデータに裏付けされたものでなければなりません。
インタラクティブかつ協力的なアプローチを取る
レポートが対象者のニーズを満たすようにするための最善の方法は、最初の設計の話し合いに対象者を参加させることです。開発者が望むことは、プロジェクトマネージャーが望むこととは異なります。混乱を防ぎつつ、確立されたテスト戦略を正確に反映するためには、レポートを使用するすべての人の要件を理解する必要があります。
各レポートで明確な目標を設定するようにしてください。たとえば、開発者が実装した修正の進行状況を追跡することや、SDLCの各フェーズにおける全体的なソフトウェア品質を改善することなどです。標準化されたテンプレートを使用して、繰り返し使用できるレポートフレームワークを確立することを検討してください。
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この記事は、開発元 Ranorex 社 Blog 「Best Practices for Effective Software Test Reporting」2024年7月26日の翻訳記事です。)