アジャイルチームのコミュニケーションを改善する4つの方法

私たちはアジャイルな世界に生きています。小規模で個々の目的を持ったチームが協力して、顧客のために次のリリースに向けた機能を開発しています。このような高品質な機能を予定通りにリリースするためには、効果的なコミュニケーションが鍵となります。

チームのコミュニケーション方法は、コスト、生産性、チームメンバーの士気、そして職場での従業員の定着率に直接影響します。私たちには数多くのツール、リソース、フレームワークがありますが、作業を進めるためには、これらの要素の中で効果的なコミュニケーションプロセスをとることが必要になっています。

ここでは、アジャイルチームのコミュニケーションを改善するためのヒントをご紹介します。

効果的なコミュニケーションパターンを見極める

コミュニケーションには、口頭、非言語、書面、異文化コミュニケーションなど、さまざまな形態があります。それぞれがハイパフォーマンスなチームを構築するために重要ですが、その中でも、あまり優先されないことが多い2つのコミュニケーション方法に注目してみましょう。

非言語コミュニケーション

これは、コミュニケーションにおいて最も見過ごされている側面のひとつです。
研究者のAlbert Mehrabianによると、メッセージに対する私たちの感情や態度の93%は、ボディランゲージ、声のトーン、アイコンタクト、姿勢、気配り、顔の表情などの非言語コミュニケーションからもたらされるという驚くべき結果が出ています。

チームはさまざまな個性を持った人たちで構成されているため、これらの非言語的な合図に細心の注意を払う必要があります。改善策をとるためには、効果的なパターンとコラボレーションを阻害するパターンを観察する必要があります。チームは、相手の意見を尊重し、会話に興味を示し、ジェスチャーに注意を払い、チーム内での個人の振る舞いを意識するように訓練する必要があります。

異文化コミュニケーション

チームは、さまざまな地域、文化、背景を持った人々で構成されています。
この多様性こそがチームを成功に導く要因であり、最先端の製品を開発するための革新的かつ創造的なアイデアを育むためのチャネルとなるのです。

一緒に仕事をする際には、地域の違いを認識しつつ、透明性と開放性のある環境を培うことが何よりも重要です。たとえば、「この製品はキャッシュ・カウ (cash cow, 金のなる木/稼ぎ頭) だ」といった慣用句を使っても、文化的背景の異なる人にはその意味が理解できないことがあります。

分散したアジャイルチームで仕事をしている場合、時間帯に注意することが重要です。
会議の時間や締め切りを言うときには、時間帯を確認してください。
これは、異なる国のチームと一緒に仕事をするときには、さらに重要になります。

最後に、人々の反応、行動、理解が異なるという事実を認識してください。
Richard D. Lewis(英文)は、自身の著書 「When Cultures Collide: Leading Across Cultures」の中で、個人の特性の違いに気づくことの重要性を詳しく述べています。このような特性の違いに注目することで、チームのコミュニケーションが向上します。

明確な期待値、目標、期限の設定

チームメンバーは、自分の作業を達成するための期待値、目標、スケジュールを定義しなければなりません。これらの重要な要素が揃っていることで、作業の指針となり、責任の曖昧さを防ぐことができます。

チームメンバーに定期的に連絡を取り、彼らがどのように行動しているかを確認し、進捗の障害となりうる問題があれば対処します。自分の行動に責任を持たせ、優れた作業はチーム全体に見えるようにして評価する。これらの積み重ねが、チームの生産性を高め、機能を予定通りにリリースすることにつながるのです。

フィードバックループの確立

アジャイルチームが成功するためには、タイムリーなフィードバックを伝えることが重要です。これには2つの方法があります。

プロアクティブなフィードバック

これは、信頼できる仲間や同僚に、自分が特定の作業をどのようにこなしたかについてのフィードバックを求めることです。これは、「私は作業を正しくおこないましたか?」や「もっと良い作業方法がありましたか?」といった質問をするだけの簡単なものです。

リアクティブなフィードバック

これは、あなたがおこなったことに基づいて、同僚があなたにフィードバックを与えることです。
たとえば、「あなたが言ったことは素晴らしかったが、次回はX、Y、Zについてだけ聞いてください。」や「このやり方の方がうまくいくと思いますが、どう思いますか?」といったフィードバックです。

チームのフィードバックを改善するためには、何がうまくいって何がうまくいかなかったかを議論するために、スプリントの一部として回顧会議を確実に行う必要があります。
チームが直面している問題をオープンにして議論し、その解決策をまとめて提案する必要があります。議論した解決策については、そのフォローアップのためにチーム内の誰かが作業を担当する必要があります。そうすることで、チームに権限が与えられ、全員が一丸となって作業をおこなうことができるのです

チームのモラル向上

チームはよく働き、よく遊ぶ必要があります。
通常、企業は前者のみに集中し、より多くの機能を開発して、早期リリースすることを重視します。その結果、他のチームメンバーと交流したり、メンバー同士で知り合ったりする時間がなくなってしまいます。

生産性の高いチームを作りたいのであれば、チームメンバーの士気を高める必要があります。
そのためには、さまざまな方法があります。

  • 定期的にチーム全体でオンサイトミーティングをおこない、メンバー全員が交流できる機会を設ける
  • チームビルディングのための活動を行い、各メンバーが協力し合う
  • 各メンバーの貢献度を評価し、それをチーム全体に報告する
  • 各メンバーのスキルアップのために十分なトレーニングをおこなう
  • チームの発展を妨げる障害を取り除く

コミュニケーションのギャップを特定し、それを改善することで、役割や責任の異なるアジャイルチームのメンバーがよりよく協力し合うことができます。そして、より良いソフトウェアをリリースすることができます。

作者について:

Raj Subrameyerは、国際的な基調講演者、ライター、およびキャリアコーチであり、技術的なバックグラウンドを豊富に持っています。 彼のBlog(rajsubra.com/blog/)では、読者の生活に役立ち、インスピレーションを与えるニュース、リソースを投稿しています。

(この記事は、開発元 Ranorex 社 Blog 「4 Ways to Improve Communication in Agile Teams」2020年4月28日の翻訳記事です。)