複数ドメインに対するWebアプリケーションテスト
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WebアプリケーションにおけるUIテストでは、試験環境、本番環境など複数のテスト環境を切り替えてテストをおこなう場合があります。Ranorexでは、同一のテストスクリプトを使用して、実行するテスト環境のドメインを切り替えることで複数環境でのテストを実施することが可能です。
Ranorexで作成したテストスクリプトにおいて、主にドメインが含まれる個所は以下の2つになります。これらの情報を変更することにより、簡単にテスト環境を切り替えることができます。
1. テスト開始時のURLの変更
通常、Webアプリケーションのテストでは、テスト開始時にOpen Browserアクションを使用して、使用するWebブラウザおよび、テスト対象となるWebアプリケーションの開始URLを指定します。
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この時、開始URLにドメイン(www.ranorex.com)が含まれます。
開始URLは直接、修正することもできますが、テスト環境の変更の度に変更するのは手間がかかるため、変数化し、外部から変更可能にします。
作業手順:
①テキストボックスにあるプルダウンメニュー(▼ボタン)から、As new variableを選択します。
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②表示される変数の追加にて、変数名を設定します。(初期値の設定は不要です。)
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開始URLが、変数名に置き換わります。
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③ドメインを外部から変更する場合、パラメーターとデータソースを使用する方法の2つがあります。
パラメーターを使用する方法:
この方法は、開始URLの変数とパラメーター(グローバルパラメーター)を紐づけることで、パラメーターにてドメインを管理します。コマンドラインのオプション(/pa|param)でパラメーターを設定できるため、コマンドラインよるテスト実行をおこなう際に便利です。
1)テストスイートの設定画面にて、テストスイートを右クリックし、ショートカットメニューからグローバルパラメーターを選択します。
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2)表示されるプロパティ(グローバルパラメーター タブ)にて、Parameter項目にパラメーター名、Value項目に開始URLを指定します。
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3)Open Browserアクションが設定されているレコーディングモジュールのあるテストケース(または、スマートフォルダー)を右クリックし、ショートカットメニューからデータバインディングを選択します。
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4)表示されるプロパティ(データバインディング タブ)にて、手順1)で設定したパラメーターと変数を紐づけます。
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データソースを使用する方法:
この方法は、開始URLの変数とデータソースを紐づけることで、外部データとしてドメインを管理します。1度のテスト実行で、すべてのテスト環境に対してテストをおこないたい場合などに便利です。
※事前にRanorexが対応するCSV、Excel、データベースのいずれかで外部データを用意します。
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1)テストスイートの設定画面にて、Open Browserアクションが設定されているレコーディングモジュール(または、スマートフォルダー)のあるテストケースを右クリックし、ショートカットメニューからデータソースを選択します
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2)表示されるプロパティ(データソース タブ)にて、外部データの種類(CSV、Excel、データソース)を選択し、表示される設定画面にて外部データの情報を設定します。
※外部データの各種類の設定については、Ranorexユーザーガイド(データ ソースの種類とコネクタ)をご参照ください。
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3)データバインディング タブを表示し、外部データと変数を紐づけます。
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※データソースの設定画面および、コマンドラインのオプション(/tcdr|testcasedatarange|testcontainerdatarange)でテスト実行時に使用するデータ範囲を指定することができるため、特定のテスト環境のみに対しててテストをおこなうこともできます。
2. リポジトリアイテム(RanoreXPath)の変更
Webアプリケーションのリポジトリアイテムでは、RanoreXPathの開始となるノード(dom)において、主にdomain属性値としてドメイン(www.ranorex.com)が使用されます。
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前述した 1. テスト開始時のURLの変更 と同様にdomain属性値を直接、修正することもできますが、テスト環境の変更の度に変更するのは手間がかかるため、値を変数化して外部から変更可能にします。
作業手順:
①オブジェクトリポジトリにて、対象のアプリフォルダーを選択し、EDIT IN SPYボタンをクリックします。
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②表示されるPath editorにて、WebDocument‐domain属性値にあるプルダウンメニュー(▼ボタン)から、As new variableを選択します。
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③表示される変数の追加にて、変数名を設定します。(初期値の設定は不要です。)
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開始URLが、変数名に置き換わります。
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④前述した 1. テスト開始時のURLの変更 と同様にパラメーターとデータソースのいずれかを使用してドメインを外部から変更できるようにします。
※domain属性以外でもドメイン情報が使用されている属性値がRanoreXPathに含まれる場合は、同様の方法で対応することが可能です。
まとめ:
今回、ご紹介した方法を使用することで、ドメインだけでなく、Webブラウザーやその異なるバージョンを組み合わせた複数環境に対して、同一のテストスクリプトを使用して複数環境でテストをおこなうことでテストの効率化を図ることができます。