テスト自動化で有償ツールを選択する理由

ソフトウェアテストで重要な作業の1つとして、テスト自動化のために利用するツールとして、有償ツール/無償ツールいずれを使用するかを決定することが挙げられます。

当初、有償ツールのライセンスは高価であり、運用までの立ち上げにかなりコストを費やしていました。 そのため、無償ツールを選択する開発チームがほとんどでした。しかし、テスト自動化を迅速かつ効率的におこうなう意識が高くなるにつれ、以下の理由から、有償ツールを選択するようになりました。

1.使いやすさ

開発において、膨大な機能要求に迅速に対応するには、ソフトウェアの欠陥をできるだけ早くキャッチすることが重要です。 そのため、使用するテストツールは、開発チームメンバーにとって使いやすいものでなければなりません。 迅速にテストを作成・実行して、フィードバックを取得し、既存のテストと統合できる必要があります。

有償ツールには、技術的なスキルに関係なく、誰でも簡単にテストを作成できるための機能が実装されています。これらのツールの多くには、ノンプログラミングによって作業時間を短縮するために、GUI上で操作できるようになっています。

2.学習コスト

無償ツールを導入することが難しい主な理由として、ツールの学習コストの高さにあります。用意されたテストフレームワークを理解し、既存のツールやプロセスとシームレスに統合するためのユーティリティを作成する必要があります。これに対して、有償ツールでは、テスト自動化をおこなうために必要な機能が用意されているため、学習コストが低くなります。また開発チームメンバーがテストツールに順応するのを助けるユーザーガイド、チュートリアル、およびツールチップなどがあります。

3.監査証跡とコンプライアンス基準

最近の企業では、大量の顧客データを扱っています。開発チームは、開発プロセスの一部として使用されるすべてのツールにおいて、データ、プライバシー、セキュリティ、その他のコンプライアンス基準を、高いレベルで維持しなければなりません。

多くの場合、大量の顧客データを処理するAPIやその他のサービスがあります。これらのコンポーネントをテストするには、自動化ツールがHIPAA、SOC2、ISO27001などのさまざまなコンプライアンス基準を満たしている必要があります。

4.カスタマーサポートと自動更新

企業が有償ツールを選択する大きな理由として、ツールに対するカスタマーサポートが提供されることが挙げられます。ツールに関連する問題を解決するための支援が必要な場合は、カスタマーサポートに問い合わせることができます。無償ツールでは、テストフレームワークに独自のラッパーとユーティリティを作成することで機能を強化することを目的として構築されているため、有償ツールのようなサポートを受けることはできません。

また、テクノロジーが進歩し、新しいプログラミング言語とテストフレームワークが導入されると、テストツールがそれらに対応する必要があります。有償ツールは、新機能、バグ修正、拡張機能など、頻繁な製品アップデートを通じて自動的にサポートを提供します。

無償ツールの多くは、技術の進歩に対応したアップデートやメンテナンスがおこなわれていません。無償ツールが提供するオープンソースライブラリとテストフレームワークを使用するには、ユーザー自身が更新作業をおこなう必要があり、これにはまた別の課題が発生します。

5.CI/CD 統合

開発チームがソフトウェアをより早くリリースするためには、シームレスなCI/CD 統合が必要になります。多くの有償ツールでは、既存のCI/CD 環境と簡単に統合できるようになっています。また誰もがパイプラインをセットアップできるためのドキュメントと、カスタマーサポートが用意されています。

無償ツールでは、パイプラインをセットアップするために、ある程度の技術レベルを必要とします。また開発チームが使用するテクノロジー・スタックや既存のツールによっては、このプロセスが煩雑になる可能性があります。ツールは、無料ですが、それらをセットアップして堅牢なテストを構築するためのコストがかかります。

有償ツールでは初期費用はかかりますが、開発チームは迅速にテスト自動化をおこなうことができます。これは顧客の要求を満たすために必要不可欠です。 賢明に選択してください。

作者について:

Raj Subrameyerは、国際的な基調講演者、ライター、およびキャリアコーチであり、技術的なバックグラウンドを豊富に持っています。 彼のBlog(rajsubra.com/blog/)では、読者の生活に役立ち、インスピレーションを与えるニュース、リソースを投稿しています。

(この記事は、開発元 Ranorex 社 Blog 「5 Reasons to Choose a Vendor-Based Tool for Automation」2020年9月14日の翻訳記事です。)